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  DON MURRAY (ドン・マレー)俳優

ドン・マレー:(MM=マリリンに)ねえ、何をそんなに怯えて、嫌なものでも 見るような顔をしているんだい?
ジョシュア・ローガン(監督):カット! ドン、scalyじゃない、whiteだ。

ドン・マレー:あ、すみません。

MM:ドン、あなた、自分で言ったこと、わかっているの? フロイト的に言う とね、セクシャルなシーンだからすっかり感情移入しちゃって、ヘビと結びつ けてscaly(ヘビの鱗の)が口で出ちゃったというわけね。ヘビって男性のシ ンボルですものね。男性のシンボルってわかる?

ドン・マレー:わかるかって? わかってますよ!

 マリリン・モンローとドン・マレーの関係は、1956年の『バス停留所』の撮 影の間、ぎくしゃくしたものだった。20世紀フォックスに対しゴダをこね、自 分の思いどおりになった今、マリリンは活き活きとして、スタジオ内では誰か らも支配されることなく、新たな権力を振るい始めているところだった。

 一方、ドン・マレーは新人で、『バス停留所』が初めての映画。  1929年生まれのドンは、ニューヨークのアメリカン・アカデミー・オヴ・ドラ マティック・アーツで学び、舞台デビューは1948年の"An Ant the Insect  Comedy"。『危機をのがれて』(ソーントン・ワイルダー作)に出ていたドン を見て、ジョシュア・ローガン監督が『バス停留所』の役に抜擢した。マリリ ンはこの相手役にあまり、関心を持たなかったようだ。

新人であり、まだ27歳、MMより3つ年下だ。マリリンのこれまでの相手役は年 上で、自分の影が薄くなるような人物ではなかった。男でも女でも、自分をか すませるような人間はほしくなかった。さらに、撮影の間に、共演していたホ ープ・ラングと親しくなり、のちに結婚することになる。ドンが自分より若い (25歳)ラングに惹かれたことがMMにはおもしろくなかったようだ。

 マレーとモンローとの間の張り詰めた緊張感はあるシーンで爆発した。マリ リンは衣装の裾でマレーに一撃をくらわせ、顔を傷つけた。それでも「新生」 マリリンは謝罪しようとはしなかった。

『バス停留所』のあと、ドン・マレーは"The Bachelor Party"(1957)、"A  Hatful Rain"(1957)、『野望の系列』(1962)などに出演。皮肉にも、 『ザ・セックス・シンボル』(1974)というタイトルのテレビ映画もある。


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