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聖林百話

24.ベスト・シークレット・プレイス

 「スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス」が5月19日に全米で公開された。ハリウッドのチャイニーズ・シアター前には、長蛇の列ができ、キャラクターの衣装を着たファンもいた。初日でアメリカとカナダの1日の興行成績が2800万ドル(約35億円)の記録を更新した(これまでは、『ロスト・ワールド』の32億円)。日本からのツアーも押しかけて。フィーバーに拍車をかけている。
 さて、ハリウッドで映画がより楽しめるホテルはどこか?
 第1回アカデミー授賞式が行われたことで知られ、チャイニーズ・シアターが目の前にあるルーズヴェルト・ホテル?『プリティーウーマン』のベヴァリー・ヒルズ・ホテルか?ノー。私が推薦するのは、シャトー・マモント・ホテルだ。
 サンセット・ストリップから曲がりくねった丘の上に立つ北欧の城のようなホテルは、1920年代から「ハリウッド・ベスト・シークレット・プレイス」だった。  ホテルのリビングでくつろいでいると、いまも酒に酔った名優ジョン・バリモアやエロール・フリンに会えそうな気がする。グレタ・ガルボは”ハリエット・ブラウン”の名前で何度か泊まっている。大富豪ハワード・ヒューズも一時期このホテルで暮らしていたことがある。
 私も泊まったが、静かな森の中に迷い込んだような不思議な雰囲気があった。スターに人気があるはずだ。
 ロック・スターたちの溜まり場でもあり、ミックジャガー、ロッド・スチュアート、ボブ・ディランらの定宿だった。
  だが、このホテルを有名にしたのは、ジョン・ベルーシの死亡事故である。
 テレビ『サタデー・ナイト・ライブ』、映画『アニマル・ハウス』『ブルース・ブラザース』のコメディースター、ベルーシは妻のいるニューヨークで暮らすことが多かったが、ハリウッドにいるときは、このホテルのバンガローを借りていた。ミーティングをしたり、ハリウッドのドラッグ仲間たちとパーティーを楽しむのだった。
 1982年3月、人気絶頂のベルーシにとって悪いことが続いていた。彼はベストセラー『ジョイ・オブ・セックス』をもとに映画の脚本を執筆中だった。パラマウントの社長マイケル・アイスナーはベルーシの脚本に不満で、大幅な書き直しを伝えてきた。スタジオはもっと大ヒットするような映画をとプレシャーをかけてきていた。
 3月4日の夜、ベルーシは、キャシー・スミスと一緒だった。彼女は映画スターのグルーピーで、バックコーラスの歌手でもある。スミスはその日、ベルーシに初めてスピードボール(コカインとヘロインの混合物)を打った。
 2人はロサンゼルス中のパーティーに出て、バンガローに戻って仲間とドラッグの続きをすることになっていた。部屋に入るとベルーシは気分が悪くなり、友人が訪れたときには嘔吐していた。ベルーシの意識がはっきりせず、居心地が悪かったので、俳優のロビン・ウィリアムズは顔を出しただけで、すぐに立ち去った。親友ロバート・デ・ニーロもコークを少し飲むと帰った。
 ベルーシは寒気がすると言った。スミスはさらにスピードを打った。やがて彼らは眠りについた。翌朝10時、ベルーシは大いびきをかいていたので、スミスは競馬に出かけたという。
 そして正午にベルーシの個人トレーナーが部屋を訪れたとき、毛布の下で胎児のように身をかがめているベルーシを発見。一世を風靡(ふうび)したスターはドラッグ中毒で33歳の生涯を閉じたのである。マリリン・モンローなど多くのスターの検死にあたったロス郡検死局のトーマス・野口博士が検死した。
 ベルーシの友人で、女優のキャリー。フィッシャー(『スター・ウォーズ ジェダイの復讐』のレイヤ姫)は追悼式で言った。
 「みんな、一緒にドラッグをやった仲間だわ」
 シャトー・マモント・ホテルの部屋からは、ハリウッド・ヒルズが見渡せる。(ダブル190ドル、スイート240ドル〜、バンガローは550ドル〜)

サンケイスポーツ 99.5.24

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