14.僕もOK,君もOK

 はっきりとした統計的な確証はないが、世界でもっとも広く使われているア
メリカの言葉と言えば「OK」であろう。スペイン人は「サルード」よりも頻繁
に「OK」と言い、イギリスでは「ライト・オー」よりもずっと日常的な言葉で
ある。
 実際、「OK」以外の他の英語表現を知らない人間にとっては、やたらに使わ
れる言葉である。第二次世界大戦のさなか、サッカーの試合が行われたとき、
ポーランド、チェコスロバキア、デンマーク、ノルウェー混成チームが言葉の
壁につきあたり、チームの統制がとれなくなった。そのとき、ポーランドの選
手が「OK」と言った。チームの誰もがその言葉の意味を悟ったので、その後の
試合は支障なく進めることができた。
 どの国にも受け入れられているものの、「OK」はもっともアメリカ的な言葉
である。
初めて活字として登場したのは、1839年、『ボストン・モーニング・ポス
ト』で、"all correct"(つまり、oll korrect)の短縮形であった。
 1840年、マーティン大統領の改選キャンペーンで、ニューヨーク州キン
ダーフック出身のマーティンは後援者たちから「オールド・キンダーフック」
のニックネームで呼ばれていた。この表現の頭文字(OK)をニューヨーク民主
党がOKクラブとして採用することになった。やがて、"all is right"を意味
するパスワードとなり、広く受け入れられていった。
 だが、マーティンにとって改選結果はOKということにはならなかった。ウィ
リアム・ヘンリー・ハリソンに大敗(KO=Knocked Out)したからである。