15.歌える言葉

 19世紀以来、言葉の壁を乗り越え、人類が一つの言語で意思の疎通がはか
れるようにと、さまざまな言語が考えられてきた。なかでも、もっとも成功し
たのはエスペラント語で、これは今日でも100万人の人々によって受け継が
れている。
 だが、もっとも音楽的で美しい調べを持つものは音階に基づいたソルレソル
語だ。
 ソルレソルは1817年、フランスの音楽教師、ジャン・フランソワ・スド
ゥレが考案した。やがて、ヨーロッパ中で熱狂的な支持を受け、ヴィクトル・
ユーゴー、ナポレオン三世もこれを採り入れた。ソルレソル語の言葉はすべて、
ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ドの音階によって成り立っている。1音節の
言葉は7語、2音節は49語、3音節は336語、4音節は2268語、5音
節は9072語となる。
 むずかしい文法、豊富な語彙の数にもかかわらず、人気があるのは驚くべき
ことではない。なんといっても、ハミングで、口笛で、歌で、ピアノで言葉を
表現できるからだ。たとえば、"I love you"は「ドレ ミラシ ドミ」とい
うふうに。
 他の世界共通語、インテルグロサ語(ラテン語、ギリシャ語、中国語のミッ
クス)やティメリオ語(言葉の代わりに数字を使う)には、こうした魅力はない。