4.動物園の檻の中に人間

 ニューヨーク市のブロンクス動物園はかつて檻の中に人間を入れていたこと
がある。1904年のセントルイス博覧会のために探検家のサミュエル・ヴァ
ーナーがアフリカのコンゴから連れてきたピグミー族、23歳のオタ・ベンガ。
ベンガは一頭のオランウータン、一羽のオウムと一緒に檻に入れられた。黒人
社会からの非難を浴び、動物園の園長は「アフリカでの生活を見せてくれるも
の」と対応した。黒人の牧師らによる抗議で檻から開放されたベンガは、こざ
っぱりとした白い衣服を着て、ソーダ水を飲み、飼育係の仕事を手伝うように
なった。これを不満に思った民衆に襲われて、ベンガは猿の厩舎に逃げ込んだ。
やがて、動物園を出たベンガは故国に帰ることもなく、1916年、ヴァージ
ニア州で自ら命を絶った。