5.ジキルとハイドは実在した

 誰もが知っているジキル博士とハイド氏の話には、実在のモデルがいた。
18世紀半ば、スコットランドのエジンバラにウイリアム・ブロディーとい
う家具製造人がいた。父親、妹と暮らす真面目な独身男、仕事も順調で組合
の執事を任されていた。日暮れとともにもう一人のブロディーが姿を現わす。
黒い服、黒い覆面に身を包んだ執事の正体は、大酒のみのギャンブラー、二
人の愛人を囲い、5人の子供がいた。1786年に銀行強盗をはたらいてか
ら18年間は、悪事がばれることはなかった。だが、三人の泥棒仲間と組ん
だために、ブロディーは密告され捕らえられた。半年前まで陪審員を務めて
いた法廷で絞首刑の宣告を受けた。ところが彼は執行人を巧みにだまし、首
吊りの縄に仕掛けを施させたり、首の周りに鋼を隠して、刑が無効になるよ
う企てた。が、なぜか、絞首台はもののみごとに機能して、ブロディーは首
の骨が砕けて死んだ。